プライベートで使う離れに恭弥を寝かせ、ディーノは目覚めるのを待っていた。
部下は心配していたが、ベッドで寝る姿は可愛らしい子猫の姿でしかなく。
さしで話をしたいからと、追い返してしまった。

こうして見ていると、獰猛な猫族とはとうてい思えないんだがな。
ベッドの傍らから覗きこんで、ディーノは苦笑する。
しかし、先ほどのやり合いを忘れたわけではない。この年にしてあの戦闘能力。
リボーンは恐らく、それを買ってボンゴレに引き込みたいのだろう。

(…お。血が滲んでる)

ふと口端に、血の痕があるのに気付いて、ディーノは拭ってやろうと指を伸ばした。
その刹那。

「お…っ、わっ!!」

ぐい…、と掴まれた腕を思い切り引かれ、そのままベッドに引き倒される。
気付いた時には視界が反転し、目覚めた恭弥に馬乗りにされていた。

「……覚醒は早いようだな」
「習性だよ。…あなた何者?兎があんなに強いなんて聞いた事もない」
「オレはボスだからな。負けるわけにはいかねーんだ」

恭弥の問いかけに、不敵に笑って答えるも、ディーノは体勢を返す事ができずにいた。
両手を押さえられ体重をかけられては、さすがにひっくり返すのは難しい。
それに何故か、思うように力を込められない。
(疲れてんのかなー)
それが部下の不在の所為だとは夢にも思わずに、ディーノはぼんやりとそう思った。

「なるほど、一族のボスともなれば、僕とやりあえるのもわかる」
「わかった所で、オレの話を聞く気になったか?」
「そうだね、聞く価値はあるかも知れないけど。まずはさっきやられた報復でもさせて貰おうかな」
「おいおい…まだ、戦るつもりかよ?オレぁもう疲れたぜ」
「…兎って、そーゆう事に疎いのかな?まぁ、いいや…それならそれで、好きにさせて貰う」

いまいち、意図の掴めない言葉に、ディーノは怪訝気に眉間に皺を寄せる。
好きにするったって、いったいどうする気だ?
そんな事を思っている間に、恭弥が覆い被さってきて。
驚くべき事に、唇を合わせてきたのである。

(そーゆう事って、こーゆう事か?猫ってませてんだなー…、どうみたって子供にしか見えないのに)

そんな事を冷静に思いながら、ちろちろと入り込む舌をディーノは受け入れていた。
ディーノは恭弥が言ったように疎いわけではなく、実は相応の経験は積んでいて。
たかがキスくらいで翻弄されるような初心ではなかった。
余裕で舌を絡めながら、さぁ…これからどうする?と、挑戦的な思いを描いた時。
中枢に何やら柔らかい感触が当る。

「……っ!」

ゆったりと履いていた綿のズボンにそれは入り込んできて、さわさわと自分の中心に触れ出したのだ。
さすがに敏感なその部分を刺激されてはたまらない、ディーノは絡みつくそれに、喉を鳴らす。
両手が塞がってると思って油断した。そう言えば、こいつ猫だったんだ。

「…っ、器用…な、尻尾だな…」
「そっか…、あなた達はこういう使い方できないんだっけ」

力の抜けて行く両手をまとめて片手で押さえ、恭弥は開いた手をズボンの中に侵入させる。
そ…っと回した後ろに、丸いふさふさの感触を認めて、付け根を撫でると。
組み敷いた身体が、びくん…と揺らいだ。

「兎には似合いの尻尾だね。それにしても…ここ、感じるんだ?」

長い尻尾を前に絡ませ擦らせながら、付け根と尻尾を丹念に撫でる度に、腰がびくついて、快感を示していた。
それを、くす…と笑われて頬が上気する。ディーノはどうした事か、まともな抵抗を出来ないでいた。
もともと兎は快楽に弱い性質を持っている。生命の危機がなく、よほど嫌な相手じゃない限り拒む事はあまりない。
そして、この恭弥という綺麗な黒猫は、ディーノに嫌悪感を抱かせるどころか、気持ち良さを与える一方で。
どうにも流されそうになってしまっていた。

(確かに好みな顔…だけど、一目惚れ…でも、したか…?オレ…)

自分の気持ちに理由を探してはみるものの、どんどん募る快感にまともに思考が出来なくなっていた。

「…お前…、とは。生態が…ちが…っぅ…って?」
「僕らも一緒だよ。尻尾は敏感だからね…、それにしてもいい顔をする。報復には充分かな」
「はっ、それは幸いだ…な。終わったら、お前…ちゃんと、話を聞け…よ?」
「あなたが満足させてくれたら、考えないでもない」

おぼろげな思考の中で何とか応酬するものの、そろそろ限界だった。

「……ぁっ…、ぁ…ぅ…、も…」
「もう?…あぁ、…それも習性だっけ…」

兎はこの手の快楽に弱い…と、どこかで聞いた事がある恭弥は、すっかり力の抜けた手を離し、
擦っていた尻尾を手に置き換えて激しく上下した。
急に強まる刺激にたまらず、ディーノは首を仰け反らせて。

「…っ!ん…ぁ…!!」

息を詰めて手の平に射精する。達する瞬間、ぶる…と身体を強張らせて、ディーノは、くたり…とベッドに沈んだ。
はぁはぁ、と息を調えているうちに、そろり…と先ほどまで前を弄んでいた尻尾が後ろに伝ってくる。

「っ…、やめ…」
「ここで止めるわけないでしょう?ほら…もっと、足、開いて」

ぐい…と両膝を押さえられ、限界まで広げられて中心が曝け出される。
羞恥を感じつつも、如何せん恭弥の与える快楽にはまってしまったようで、抵抗を考える思考がない。
制止をかけれたのは、僅かに残った理性だったが。それも尻尾の先端が後ろを抉じ開けようとした所で、壊れた。

「あ…っ…、ぅっ」
「…さすがに、すんなりとは入らない…ね。仕方ない…、口でシて」

固い入口に容易には潜りこめず、諦めて恭弥は先端を抜いて、指に置き換えた。
身体を上にずらして、尻尾をディーノの口に押し付ける。

「……ふ…、ぐ…、っ」
「ん…、これも…気持ち良いから…、しっかり舐めてよ」

口内に入り込んだふんわりした感触が唾液で濡れていく。
朦朧と舌を這わすと、言葉通り気持ち良いのか、恭弥は息を詰まらせていた。

「ふ…く、…ん、ん…っ」
「ん…、あなたの中…溶けてきた。しゃぶって気持ちいいなんて…兎って淫乱なんだね…」

くく…と、喉で笑う声が聞こえる。さっき出したばかりなのに、ディーノの前は既に固く張り詰めていた。
隠しようの無い証に顔が熱くなるも、抗えない快楽に抗議もできない。
唇を犯す尻尾に唾液を絡めて、口端から零れて流れる。
そんな淫猥な表情に、恭弥もまた、常に無い興奮を覚えていた。
こく…、と喉を鳴らした後。ずる…と、指と尻尾を抜いて両足の間に身体を収め。
そのまま後ろに欲望を突きたてた。

「……ぅっ…、あ、ぁ!…、ァッ!…くっ…」
「く…、ぅ…」

指で解れたとは言え、内部はやはりキツイ。しかし構わず、恭弥は呻きつつ、ぐい…と腰を押し付ける。

中を犯されるのはさすがに初めてだったが。
掻き分ける熱い塊が、痛みと共にどうしようもない快感を生み出していた。
ディーノは思いかけない快感の嵐に、頭を緩く振って生理的な涙を溢れさせる。

窮屈な内部に痛くはないのかと恭弥は眉を顰める。
しかし、ぺたん、と寝てしまっている白い耳が、小刻みに震えていて。
また、喘ぐ声の甘さが、感じている事を伝えていた。

悦楽に溺れる白ウサギに恭弥は口端をつり上げて。
悶える身体を組み敷いて、何度も抽挿を繰り返し、自らも快感を上らせて行った。

そうして互いに息を詰まらせて達した後。
涙が流れるディーノの頬を、恭弥は意外にも優しく、舌で舐めてやった。

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2008.01.06