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◆内容のあんまり無い馬鹿っぷる本です(笑)裏がメインな気が…たぶん。
かなりディーノが従順で、色々されています(笑)
※ディーノさんメイド女装をしていますのでご注意ください。
<一部抜粋>
綱吉からの依頼は「恭弥を監視する事」だった。
それはつまり、ディーノが恭弥の側から離れなければ良いという。そして加えて出された条件が2つ。
1つは綱吉が用意する場所で7日間2人で過ごす事。そしてその間、恭弥をボンゴレ本部に近づけさせない事だ。
自由に飛び回っている恭弥を拘束するのが大変な事は綱吉もわかっているはずだった。
「だから、ディーノさんじゃないと無理なんですよ」
なんて軽く言ってくれたが、ディーノとて簡単な事じゃない。
納得行く理由を聞かせて貰おうと問いただすと綱吉は「ヒバリさんに知られたくない取引がある」と答えた。
何でも雲系含むリングが関わる重要な取引で、穏便に事を済ませたい綱吉はリングに目の無い恭弥を遠ざけたいのだという。
〜 中略 〜
玄関近くで車が停車して降りると、思わずディーノはあんぐりとホテルを見上げてしまっていた。
近すぎて全ての全貌はわからなかったが、どう考えてもまるで城のような外観をしている。
城壁は大きな石が天高く積まれて行く構造で、見上げた先には円柱の塔がそびえている。
頑丈な石造りの壁に大きな木の扉が重そうに構えられていて、人の手で開くのだろうか…と懸念していると、
運転手が降りて扉を押し、あっさりと内側に押されて行った。
その後ろ姿に、ここはホテルなのか?と尋ねれば「Si」と頷かれた。
確かに、中に一歩足を踏み入れると古びた外観からは想像も出来ないほど綺麗に整備されていて、
調度品や壁画が品良く並べられていたが。一般に想像できるホテルと言うより上流階級の屋敷を思わせる。
ディーノとて相当な屋敷に住んではいるが、此処はそれ以上だった。
普通のホテルにあるフロントやスタッフが見当たらず、案内は車から降りて来た運転手だけだった。
彼に着いて歩きながら色々聞けば、何とここは特別なVIPが貸切専用で泊まる所らしい。
プライベートな空間を味わう為に従業員は必要最低限で、それでいて電話一本ですぐに駆けつけれる体制になっていると言う。
通常はパーティなど多人数で宿泊するのが多いが、まれにディーノ達のような少人数の客も居ると話してくれた。
人懐っこく喋りかけるディーノに、運転手兼ホテルマンだった青年は快く教えてくれる。
それを横で聞きながら恭弥は黙したまま大人しく着いて来ていた。一通りイタリア語は話せるから意味はわかっているはずだ。
石畳の廊下を歩き両側に立ち並ぶドアを抜けて行き、一際大きな扉の前で止まると青年はゆっくりと押し開けて2人を中に促した。
ドア付近のテーブルに荷物を置くと恭しく礼をし、立ち去ろうとした時。ずっと沈黙を保っていた恭弥が呼び止める。
「これからは食事の時も朝も、僕が呼ぶ以外で僕達には近寄らないように」
流暢なイタリア語で話しかけるのに青年は怪訝そうに首を傾げる。
自分に至らない所があったのかと戸惑いを見せる相手に、ディーノは慌てて補足した。
「ただ静かに過ごしたいだけだからさ、適当に声をかけるから」と付け加えるのに安心したのか、表情を和らげ青年は頷いて立ち去っていった。
どういうつもりかはわからないが、恭弥は干渉されるのが嫌いだからな…と、ディーノは深く考えずに肩を竦める。
ジャケットを壁際のポールスタンドに掛けている恭弥に習って、ディーノも良く着ているモッズコートを脱いで適当に掛けてから部屋を見回し始めた。
城の中でも一番の部屋なのだろうか、屋敷の居間と見紛う程の面積で高級ホテルのスイートよりも広大な気がする。
装飾品も質の良い名のあるものばかりでアンティークも混ざっていた。
調度品関係の商売もやっているから、自然と本物かどうかわかる程度には目も肥えている。
さすがはボンゴレが手配するだけはあると言うか…、これはちょっとやり過ぎな気がするが。
せめてもの綱吉のお詫びだとしたら、素直に受け取っておこう。
ベッドルームは別にあって、続きの扉を開けると間接照明で仄かに照らされたキングサイズの天蓋付きベッドが目に入った。
真ん中にベッドが1つあるだけのシンプルな作りではあったが、寝る為の部屋なのだから十分だ。…それにしても。
(ベッドが1つって、あからさま過ぎるだろ…)
確かにベッドの広さはディーノが3人並んでも寝れる程はあるが、通常、男2人の宿泊ならツインの部屋を選ぶだろうに。
綱吉がどういう手配をしたかは知らないが、あのホテルマンにはオレ達の関係は想像が付きそうだよな…と思うと、次に顔を合わせ辛い。
「ワォ、あなたがこういう手配をするとはね」
どよーん…とベッドを眺めていると後ろから恭弥の声がする。そうだった、部屋はオレが手配した事になってるんだった。
男2人の宿泊なら改めて言わなければ普通はツインになるはずだ。つまりはオレがベッドを1つにしろと注文した事になるわけで。
泣きたくなりそうだったが、そこはぐっと我慢して「別に、良いだろ?」と何でもない事のように答える。
それに怪訝そうに片眉を上げたものの、恭弥は追求はしてこなかった。
不自然に思われてないようで、ほっと息を吐く。来てしまえば後はどうとでもなるだろうと思ったが、中々に気は抜けないようだ。
何せこれから7日も恭弥を引き止めておかないといけないのだ。機嫌を損ねたらすぐに帰ってしまう可能性もあるし、気をつけないと。
一緒に過ごせて嬉しい…などと甘く思っていてはいけないらしい。
そして、その最初の試練がディーノに訪れようとしていた。
ベッドルームから居間に戻ってきたディーノに、恭弥は1つの小ぶりのトランクを渡す。
何だか常とは違って荷物が多いなぁ…と思っていたが、手渡されてディーノは首を傾げる。
「これなんだ?」
「開ければわかる」
短くそう答えて、恭弥はソファに座りそれきり黙ってしまった。
じぃ…と見られているだけで居心地が悪く、対面のソファに座って机にトランクを置き両手で開けて、ディーノは絶句する。
そこには光沢のある黒の布地に、質の良さそうな白いフリルが散りばめられた…、いわゆるメイド服というものが納まっていたのだ。
手に取るまでもなく正体が知れて言葉を無くしているディーノに、足を組み腕置きに肘を着いた恭弥は、にこぉ…と嬉しそうに微笑んだ。
気配を察して引き攣ったまま顔を向けると、恭弥はディーノの想像に答えるように頷く。
「これ…着ろって?」
「そう。一度してみたかったんだよね…メイドごっこ。此処に居る間は僕へ奉仕して貰おうか?」
ぼそぼそと呟くディーノに恭弥は見た事もないような嬉々とした(ディーノにはそう見えた)笑顔で答えた。
それから「何でも言う事、聞くって言ったよね?」と続けられる。
あぁ…、あの時感じた嫌な予感はこれの事だったのかと。ディーノは泣き崩れたい気分だ。
しかし従わないわけにはいかない。約束したのは自分だし、それに恭弥の機嫌を損なわない…と言う大目的もある。
暫く項垂れて、ぅー…と唸っていたディーノだったが。楽しげな恭弥の顔を見て心を決めた。
騙している罪滅ぼしだ。せめて、恭弥の望む通り…。
奉仕でもなんでもしてやろうじゃないか。
* * *
黒のワンピースと胸元からの白のエプロン。
膝上の丈の短いスカートの裾からはひらひらと白のレースが覗いていて、そこから10cmほど下に履かれた黒のニーハイソックス。
腕の部分は肘上で絞られて肩からふっくらとしたシルエットになっている。
頭には黒の布地にフリルがあしらわれ、両側に細いリボンがついたヘッドドレスが飾られていた。
通常の機能的なメイドと言うよりは趣味に走った部分が現れていて、恭弥ってこういう趣味があったんだなぁ…と、
付き合いも5年を過ぎると言うのに改めて知った。
あつらえたかのようにぴったりなサイズはどう考えてもディーノの為に作られたものだろう。
180を越す身長に合う物が既製品であるとは思えない。
こんなでかい図体に似合うものじゃないだろうに、仕上がりを見せると「うん、中々良いね」と恭弥は満更でもない様子を見せた。
丈の短いスカートの裾を太腿を隠すように握りつつ、恥ずかしくて仕方ないディーノは憮然としっ放しだ。
「ほら、その格好でこれから過ごすんだから、慣れなよ」
「え、…えぇぇ…予定は7日あるんだぞ?ずっと着たままか?」
「大丈夫、滞在地が判明した事だし、着替えの服も届けさせるから」
…って、同じメイド服かよ。とディーノががくりと頭を下げると、いつまにか恭弥は近づいていて頬に触れた。
優しく触れて見つめられるのに、ドキ…と鼓動が揺れる。実に楽しそうな表情の恭弥を見て、複雑ではあったもののディーノは腹をくくった。
足元がスースーする以外は鏡さえ見なければ己の姿を忘れられるし、先ほどホテルマンを遠ざけていたから恭弥以外に見られる事はないだろう。
あれはこの為だったんだな…と思っていると、クイ…と腕を引かれてソファに戻っていく。
「それじゃあ、世話をして貰おうかな」
クスクスと笑って悪戯に言う恭弥に、ディーノはつられて緊張を解き、ソファに座る恭弥の傍らに立つ。
「ふ…、メイドごっこか?…何をすれば良いんだ?」
「とりあえず、ご主人様…からだろう?」
示唆する恭弥の言葉に習って「お飲み物でも要りますか、ご主人様」と冗談めかして言うと、恭弥は笑みを浮かべたまま頷いた。
そこでディーノは壁際の棚へ歩いて行く。足を動かす度にひらひらと足元にレースが当たるが気にしない。
並ぶワイン瓶を品定めしていると、その中に日本語のラベルがあった。
良く見ればそれは綱吉と飲んだ覚えのある日本酒で、これもまた彼の差し金なんだな…と細かい所に感心する。
恭弥が洋酒を好まない事を知っているのだ。
迷い無くその小振りの瓶を手に取り、冷酒を飲むにも使える小さいショットグラスを持って恭弥の元に戻る。
ただの戸棚ではなく冷気が満たされていたようで、手に取った物は程よく冷えていた。
外は寒さを感じる気温ではあったが、部屋の中は空調が行き届いていて暖かく、冷えている方が美味しく飲めるだろう。
「あぁ…そんなものまで用意してくれたんだ?気が利くね」
持ってきた日本酒に気づいて恭弥に褒められると、ディーノは複雑な思いで頷く。
オレじゃないけど、と心の中で思ってグラスを恭弥に持たせ、栓を解いて静かに透明な酒を注いでいく。
グラスの8割程度で止めて瓶を上げると、恭弥はゆっくりとグラスに口付けた。
静かな部屋内に、こく…と喉を鳴らす音まで聞こえるようだ。嚥下する際に動く喉の動きを見て、ディーノは何となく目を反らせた。
「美味しいね」
「そうか?良かった、恭弥はワインは嫌いだもんな」
「嫌いなわけじゃないよ、あなたとは一緒に飲んでるじゃないか」
「あれは、オレに付き合ってくれてるだけだろ?」
酒が気に入ったのか話す合間にグラスが空になり、継ぎ足しながらディーノがそう返す。
確かに共に居る時はワインを好むディーノに恭弥も合わせてくれるが、それ以外では飲まないと草壁に聞いた事があるのだ。
だから嫌いだと思って居たのに。不思議そうにしているディーノに、恭弥は口元に薄く笑みを浮かべる。
「あなたと一緒だと洋酒も美味しいからね。他では飲まないけど」
まるで自分だから特別だと言われてるみたいで、ディーノは顔が熱くなる。
出会った当初は本当に素直じゃなかったくせに、ある時期から急に、時折ではあるが歯の浮く台詞を言うようになった。
想いを感じられて嬉しい半面、言われ慣れない相手からの言葉は心臓に悪い。
うろたえているのを悟られ、クス…と笑われるのに更に頬が赤くなるのを誤魔化そうと、まだ底面に残っているのに酒を注ぎ足す。
「そんなに要らないよ、酔い潰す気?」
「…良いじゃねぇか。普段は仕事もあって思う存分酔えねぇだろうし、限界まで飲んだらどうだ?」
「また次の機会にしておくよ。それより…、此処に膝をついてくれない?」
酒の制止をかけたものの恭弥は微塵も酔った様子もなく、注がれた液体を一気に飲み干すと自分の足元に指を差した。
指の先を視線で追ってからディーノは目を瞬かせる。
そこに膝をつくと言う事は恭弥に跪くような格好になるが…、己の姿を思えば間違ってはいないかと苦笑して、
酒瓶を机に置くと両膝を恭弥の足のすぐ側について膝立ちになる。薄いソックス一枚だったが絨毯はふかふかで冷たさはなかった。
両手を太股の位置で重ねて恭弥を見上げると。
「何か用事でも?ご主人…さま?」
先ほどのメイドごっこを続けてわざと区切ったタイミングで首を傾げる。
恭弥はその仕草に満足そうに笑んで手を伸ばし、ディーノの顎に指をかけてクイ…と上向かせた。
酒の所為だろうか、触れた指が仄かに熱くてドキドキする。
こんな風に膝をついて、足を組んだまま見下ろされると本当に支配されているような変な気分になって来る。
そのまま言葉もなく恭弥は人差し指を伸ばすと、ディーノの唇を横からなぞった。
掠めるような動きが擽ったくて、ピク…と顎が震える。
吐息が漏れて空く隙間に指が入り込んで来て、舌先に爪先が触れて背筋まで震えた。
しかしそれ以上は進入して来ようとせず、僅かに動かすだけの指が焦れったくて、ちゅ…っ…と唇を窄めて吸い付く。
小さく響いたリップ音に恭弥は口端を上げた。
「ふ、口寂しそうだね…。それなら、この口で奉仕して貰おうかな」
「ん…、くち…?」
「そう。僕のを舐めて奉仕してよ。メイド…さん?」
落ちかけていた瞼を上げて口端で問うと、恭弥は優しく笑んでそんな事を言い出して来た。
こんな格好をさせる時点でそっちも含むんだろうな…とは思っていたが。
思わぬ申し出にディーノの喉が鳴る。恭弥のに触れるのは嫌ではなく、むしろ好きな方だったからだ。
一方的に翻弄されるより自分が感じさせてる事が実感できて嬉しかったりする。
だから素直に頷くと、ディーノはいそいそと膝立ちで移動して恭弥の足の間に入った。
「ずいぶん、良い子だね」
「ん…、オレは恭弥のメイドだからな」
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