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◆BAKA本第2弾、もちろんエロメイン(爆)オフ本にするにはちょっと…な内容の弾けた本です…(笑)
今回はちょっとご注意。恭弥とディーノと、ディーノから分裂したちびディーノとの3Pになります。
少年時代のディーノの裏描写もありますので、苦手な方はご注意ください。…最後まではしておりません…(笑)
※前回は全ての通販におまけしましたが、こちらの本は申込Noをご記入ください。
<文章一部抜粋>
ただ、彼が10年前と入れ替わっているのならば自分の事は知らないはずだ。
それにどう見積もっても手合わせ等はできそうもない。
目が覚めても面白くはないなと思い、どうしてくれよう…と見つめていると。ふいに子供の目が開いた。
常よりも大きな蜂蜜色の瞳がゆっくりと開かれて見つめられ、思わず鼓動を揺らしてしまう。
別に子供が好きだと言う嗜好もないが、これが彼の幼い頃かと思うと興味深い。
まるで女の子のようなあどけなさに瞬きも忘れて見つめてしまっていた。
その唇がふいに開いたかと思えば…、甘ったるい声で呼んだのだ。
「きょおや…」
にこお、と緩んだ微笑みと共に囁かれた呼び声に。さすがの恭弥も目を丸くしてしまった。
「僕がわかるの…?」
当然の疑問を投げかけると、ちびディーノはこくん…と嬉しそうに頷く。
その緩んだ雰囲気に恭弥は訝しげに眉を寄せていた。
昔と入れ替わったなら自分の名前などわからないはず。ましてや、もし仮に中身が同じであったとしても常の反応とは違う。
答えが思い浮かばずじっと眺めていると、ちびディーノはゆっくりと身体を起こして、恭弥に甘えるように擦り寄ってきた。
一応、恋人と言っていい関係の2人だったからこうした接触は珍しい事ではない。
しかし常に大人然としていて格好つけている彼が、こんな頼りきったような様子で抱き付いて来る事なんてなかった。
…厳密に言うと情事の際は違うがそこは一先ず置いておこう。
腕の中にすっぽりと納まってしまう身体に違和感はあるが、気配は紛れも無く彼の匂いがする。
一体これは何だろう…と、思いつつ、甘えてくる様子に少しだけ嬉しい気持ちが湧いてなでなでと背を撫でていると。
ふいにどこからか声が聞こえてきた。
「気に入ったか?」
窓の方からの侵入者であろう唐突の声に内心驚いたものの、恭弥はそれを表に出す事はない。
誰何せずとも声から正体がわかる。大体、自分に悟らせずに近づける者なんて、彼以外は考えられないのだ。
「君の仕業かい?…赤ん坊」
離れようとしないディーノを抱き締めたまま肩越しに振り向いて姿を認めると、案の定小さく黒い塊がぴょんぴょんと窓から入ってきた。
ひょい…とソファ前の机に腰掛けにやり…と相変わらずニヒルな笑いを見せる。
その笑いを目の端に入れて、恭弥は全ての事に納得していた。
疑問は解決していないが、この赤ん坊のやる事ならば何が起こってもおかしくはない。
「これは何だい?あの人とは違うものだね」
「…そうであってそうじゃねーぞ」
「わかりやすく説明して欲しいんだけど」
そうやってやり取りしている間もすりすりと頭を擦り付けてくる彼に思わず困ったように微笑んでしまい。
それを見ていたリボーンが目を合わせてにやりとほくそ笑む。
見られてしまった自分の緩んだ顔に気まずそうに目を細めると、あやすようにぽんぽんと少年の背を撫でつつ、言葉を待った。
「実はな。分裂弾…っていう特殊な弾を開発してな。撃たれた人物の一部が分裂して表に具現化するって代物だ」
「…その実験にこの人を使ったわけ…?良くあの群れが許したね」
「オレのやる事にあのファミリーは文句は言わねーからな。んで見事に分裂したものの、何故かちっちゃくなっちまってな」
説明を続けながらリボーンは帽子の唾を指先で下げ、ふ…っと口端を上げた。
「確かに…子供だね…」
「本来は忙しいのを緩和する為に分裂できれば…ってな意図だったんだが。それじゃ使い物にならねー」
まだまだ研究中だ、と続けてからリボーンは役割が済んだとばかりに机からぴょんと降り応接室の扉へと向かって行く。
恭弥はそれに内心で慌てて声をかける。
「ちょっと待ちなよ。理由はわかったけど、何故僕の所に置いていくんだい」
「日頃世話になってるちょっとした礼だと思って預かってくれ」
出て行こうとする彼はちらりと振り返り相変わらずの笑みのまま答える。
その答えには難色を示して、「これが礼…?」と恭弥は眉を潜めた。
「暫く会えてねーんだろ?忙しいあいつに代わって側に置けばいい。どうやらお前を好きな部分が抽出されてるみたいだし」
「……僕は…、もどきを相手にする気は」
「もどきじゃねーぞ。人形でもなければクローンでもない、紛れもないあいつの一部で感情や記憶は繋がってる…はずだ。
効果は何日かまだわからないが、そのうちあいつに戻って消えていく。んじゃ、それまでよろしくな」
言葉を挟む間もなくそう告げて、リボーンは部屋から出て行ってしまった。
青年の立場を考えれば下手な所に預けられないのはわかる。
自分の元でも大丈夫というのもわかるが、どうせなら群れの中で匿っていれば良いものの…。
(礼…って本気なんだろうな…)
面倒を押し付けるという思いもあるのだろうが、自分にこの存在を連れて来る赤ん坊が難い…。
半分は悪戯で、半分は本気で自分が喜ぶと思っての事だ。
そしてそれに乗せられそうな事が悔しくも、赤ん坊には敵わないな…と思えてしまう。
先ほどからまるで自分しか見ていないような少年の仕草。
どこまでの知識が残っているのかわからないが、純粋に好意だけで動いているのだろう。
すっかり身体を預けては擦り寄ってきて「自分を好きな部分が抽出された」…と言った彼の言葉を裏付けていた。
この調子ならば自分が何をしても受け入れそうな雰囲気ではある。
紛い物を相手にはしたくないが、紛れもなく彼の一部だと言うならば話は別だ。
どんな形であれディーノがディーノであるならば、拒絶する事はない。
「……ま、ペットとでも思っておくか…」
本人が聞いたら怒りそうな呟きも、腕の中のちびディーノは声が聞けて嬉しいのか顔を上げ、ぺろりと恭弥の唇を舐めた。
その仕草が本当に小動物のようで、恭弥は思わず…先ほどの困ったような慈しむような、そんな笑顔を浮かべてしまったのだ。