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◆大人恭弥×22歳ディーノです。
10年後に飛んでったディーノさんが暫く戻れなくなってしまい。
ボンゴレへの挨拶とかパーティとかに代わりに出席したり
途中で恭弥にみつかったりして。やっぱり何かされちゃったりして(笑)
そんな感じの、軽いらぶらぶ話です(笑)本編の10年後話は思いきり無視してます。



<本文一部抜粋>


「悪ぃ、今…オレの携帯使えなくなって、…って恭…、弥?」

ドア付近で突っ立ったままだったディーノに、いつの間にか近づいた恭弥は、じ…っと怪訝気な顔で見上げてきていた。
そして徐に手を伸ばすと、ば…っ、とかかっていた眼鏡を奪う。
フレームが顔に当って「いって」と、ディーノは小さく顔を顰めた。

「……ディーノ…?あなた、どうしちゃったの?」
「わ、恭弥…、オレの名前呼んでくれてんの?…すっげー…感激…」

すらりと出てきた恭弥の呼び声に。さっきまで沈んでいた気持ちは何処へやら、ディーノは、ぱっと笑顔を見せた。
その対応に、恭弥はますます訝しげな顔になる。

「記憶でもなくなった?…でも、今のあなたは…」
「……ごめん混乱させて。嘘みたいだけどさ、今のオレ、10年前のオレなんだ」

複雑な顔の恭弥に、気まずそうにディーノは、種を明かした。





「なるほど…ね」

かいつまんで説明し終わったオレに、恭弥は呆れたように言って。
どおりで違和感があると思ったよ、と続けて溜息をついた。

先ほどまでの剣呑な雰囲気は、今は消えていて。ディーノはほっと一息つく。
それでいて、素っ気無い物の言いようは、まるで10年前と変わらない気がして。
姿はずいぶん大人びたけど、中身は相変わらずなのかな、なんて思っていた。

「約束に律儀なあなたが連絡を怠るなんて、どうしたのかと思ったけど。これで理解できた」

恭弥はソファに深く身を沈めると、手の平で顔を覆って、はー…と、長く息を吐いた。
その仕種を怪訝に思って、首を傾げる。

「もしかして、心配でも…させた?」

まさかな、と思いつつ。ディーノは笑ってそう言うと。
恭弥から「そうだよ、悪い?」と、まさかと思える言葉が返って来た。
そうして顔を上げて、じ…っと見つめられ。ディーノは思わず赤面してしまう。

(何だか、恭弥…、直球になった…、な)

どぎまぎしながら「そっか、悪かった…」と、なんとか言って、直視されている視線から顔を逸らす。
合わなくなった視線にも構わず、恭弥は思っていた事を、つらつらと話した。

「抗争の最中で、約束していた連絡が途絶えれば何かあったと思っても仕方ないでしょ。
だから、ボンゴレのネットワークで連絡をつけてもらおうとして屋敷に戻ってみれば。本人はけろりとしてパーティに出席してるんだから…」

恭弥はそこで向かいのソファから立ち上がり、ディーノの方へと回って来た。
ぐい…、とディーノの顎を掴むと「僕の心中は測り知れないと思って」と、憮然として見下ろして来る。
さっきまで恭弥が怒っていたように見えたのは、どうやら連絡を無視していた事に対してのようだ。
心配していた相手が、のほほんとパーティ会場に居たら、そりゃ怒るのも仕方ない。
でも、でも…、そんな風に心配してくれるって事は―――……
ディーノは浮かんだ期待に、どきどきする鼓動を押さえられない。
じ…っと、見据えられ居た堪れなかったが、目を逸らそうにも、顎が捕えられていて動かせなかった。

「ご…ごめん、な。心配かけて、でもこの時代のオレは悪くないから、怒らないでやってくれ」
「そうだね、元のディーノは悪くない。でも間抜けにも、バズーカに当ったあなたには、責任取ってもらわないと」
「え……、恭、弥…?」

ディーノが目を瞬かせていると、掴んだ顎を更に上向けられて。そのまま唇を重ねられた。