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◆10年後くらいです。ホント…エロしかなくて申し訳ないです;;
恭弥の方に媚薬みたいなのを盛って、ハァハァさせたいと言う気持ちから書いてます(笑)
しかしながら、結局はいつも通りのただのえっちです。
ディーノからの好き度が大変な事に…ってこれもいつも通りですかね(笑)


<一部抜粋>


「僕と待ち合わせた先で浮気とは、良い度胸だよね」
「きょ…、恭弥っ…違う、これは…」
「……言い訳は、奥の部屋で聞こうか。確かVIPルームもあったよね」
「―――――――…っ」

胸倉をグイと掴まれれば苦しくて言葉を出す事も出来ず、ディーノはされるままに肩に担がれてしまった。
大人になってでかくなったとは言え、軽々と己を持ち上げる相手の腕力に慄きながらも。
ディーノは今は大人しくしているべきだと悟っていた。
ここで暴れれば恐らく気絶させられる。
己の今の状態から抵抗して逃れる事は出来ないと、本能が訴えている。
気絶なんてしたら何をされるかわかったもんじゃない、せめて話が出来る状態でいなければ。

つかつかとディーノを担いで歩く恭弥を止めるものは誰もいなかった。
馴染みの店で、ディーノが来ている時は奥の部屋をたまに使う事も知られていたから、店員も止める事はなかった。
……否、恭弥から立ち上るオーラに近づけなかっただけだろう。

(もう此処に来れない…)

情けない格好で連れて行かれるディーノは、店員の視線を痛い程感じながら、心中で涙を流していた。

* * *

この店にはVIPの為にホテルのような部屋が何室かあった。
何度か使用した事もあり恭弥は慣れた足取りで一番奥の一室に入ると、
担いでいたディーノをダブルベッドにぽい、と放り投げる。スプリングが軋んでディーノの身体が弾んだ。

寝転がったディーノの太股に跨り見降ろして、恭弥はしゅるり…と己のネクタイを解いた。
上から睨みつけられる視線が痛い。
間違いなく怒っている相手に話を聞いて貰えるだろうか…と口を開きかけた時、
恭弥はディーノの胸倉を掴み上体が浮く程に引き上げた。
同時に締められる首が苦しくてディーノの顔が歪む。

「本気で疑っているわけじゃない。腹立たしいのは、あなたの無防備さだ。どうせ何か盛られでもしたんだろう?」

押し殺した声で言う恭弥の眉間は寄せられていて、不機嫌さを表していた。
さすが察しの良い恭弥だ。浮気を疑われても仕方ない状況だと言うのに、ちゃんとわかっている。
不可抗力だと鼻から思われているのに、自分は信用されているなぁ…、なんてニヤついている場合じゃなかった。
結局、言い訳を封じられてしまったのだ。

ちょっと変わった手段だったとか、己との相性による香水の作用なんて予想も付かなかったとか。
特殊な状況だったのは変わりないが、油断による事態なのも確かなので言い返せない。

「…8割くらいは合ってる…。ごめん」

だからディーノは、素直に謝って僅かに動く頭を下げた。
強めに胸倉を掴んでいて苦しいはずなのに、殊勝な態度を見せるディーノに、恭弥は長々と溜息をつく。
この次に予想されるのは…。

(腹に一発ぐらいくるかな)

常ならそれくらいのお咎めがあってもおかしくない。
そう思えば覚悟を決めて、ディーノは頭を垂れて瞳を閉じ神妙に出方を待っていた。
…が、数秒そのまま固まっているものの動く気配がない。

殴られなくとも責める言葉くらいかけるだろうに、沈黙を不思議に思い薄目を開けると、
恭弥は何だか複雑な表情をしていた。
片眉を下げ目を細めて困惑しているような顔だ。

どうしたのだろうと見つめていると、
唐突に顔を近づけてディーノの首元に鼻頭を押し付け、息を吸い込む音が聞こえる。

「何だろう…、すごく良い香りがする」

掠れた声には先ほどまでの押し殺した怒りの響きがなくなっていた。
ディーノはそれを聞いて、は…っと香水の効果を思い出す。
そう言えば媚薬に似た効果もあるとか言ってなかったか?
その所為であの男とあんな状況になったわけで…、まあ今にして思えば奴には最初から下心があった気もするが。
もともとディーノに…(多分)好意のある恭弥が嗅いだらどうなるのだろう。

(もっと興奮とかすんのかな)

我を忘れるくらい興奮する恭弥とかちょっと見たい…
なんて、立場も忘れて顔を上げるものの、彼の表情は特に変化はなかった。
あの男は目に見えて陶酔した顔をしていたのに、個人差があるのだろうか。
そもそも恭弥は、その気質からか意思を曲げる類の薬には強かったはず。

(そうだよなーー…)と、心中で少しがっかりしていた。しかし。

「良くわからないが、取りあえずあなたを抱きたくて仕方ないな…。咬み殺すのは後にしてあげる…」


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