8:何回目?


「…っく、…ぅ…」

何度目かの抽挿の後、オレの中に達した恭弥は、快感を露わにした表情で息を詰まらせた。
気持ち良さそうな顔を見上げていると、ぞくぞくと甘い痺れが背筋を抜ける。
もう、一体何回目なのか。飽きもせず続けられるsexに、時間間隔も失せていた。
快感を覚えたばかりの身体は、止めどない欲求をぶつけてくる。でもそれが、心地良いなんて。
(同じように恭弥に引きずられるなんて。…オレも…、まだまだ)

「……っん、…っ」

ぼんやりと思っていたら、内部からずるりとそれが抜けていった。
唐突に抜かれる感触にびくん…と身体を震わせる。
恭弥はさすがに疲れたのか、ディーノの胸に突っ伏して、荒い呼吸をしていた。
くたりと体重をかける身体を愛しげに抱きしめて、手触りの良い髪を撫でる。

「…余裕…、だね。…むかつく…」
「そんなの、ねーよ…。お前相手に、余裕なんて」

擦れた息で不満そうに言う恭弥を、抱き締める力を強くした。
そんな風に見えるのは、自分のせめてもの虚勢が表に出ている所為だ。
実際は、ずっと翻弄されっぱなし。慣れたとはいえ、sexの技巧はまだ子供じみたものだったけど。
それでも恭弥との行為は、気持ち良くてたまらない。だから求められるままに応じてしまうのだ。
お前の気持ちが、一番良く、伝わってくるから。
(少し、Sっけあるとこは困りもんだけどな…)
微苦笑しつつも最終的にそんな所までも可愛いと思えるのだから。
オレも大概、おかしいのかも知れない。

心地良い重みを感じながら、気だるさにまどろんでいたら。
恭弥が少し顔を上げて、唇を寄せて来る。差し出された舌を躊躇いもなく受け入れて、唾液を絡ませた。
次第に口付けは深く、再び息が上がり始めて。
太股に当っていた恭弥のソレが、また熱を持ち始めたのを感じた。

「…んとに、元気だなー…、若さってやつか…?」
「――…仕方ないでしょ…。何日、待ったと思ってるの」

そう言って憮然とする恭弥に、目を瞬かせる。
見つめた顔は、良くみる不機嫌そうなものだったけど。
少しだけ拗ねているような印象を受けて、ディーノは、思わず吹き出してしまった。

「お前、…可愛いなぁ…ホント…」
「―――咬み殺すよ…?」

くくく、と含み笑いをするディーノに、低く唸ると。恭弥はディーノのモノを、わし…っと掴む。
急所への攻撃に「いだだだ」と、笑いながら顔を顰めて身体を捩って逃れた。

「ほんとに、久しぶりだったもんな。…溜まってた?」
「うるさいよ。もう、黙って」

むっとしたままの顔で、恭弥は噛み付くように再度唇を合わせてくる。
侵入する舌に言葉を塞き止められて、替わりに吐息が口端から漏れる。
唾液を交じり合わせながら、暫くキスを甘受していると、恭弥の手が後孔へ伸びてきた。

「……ぁ…っ、…お前、本当に何回…ヤるつもりだ」
「やれるまで」

後ろに指を這わせて、ぐ…と押し開ける感触に喘いで、引き続く行為に苦笑混じりで問うと。
当然のようにさらりと返して、恭弥は中から溢れる自分の精液を指に絡ませた。
そこからトロトロ流れる感覚に、はぁ…、と熱い息が漏れる。
咎めるような事を言っていたって、結局は簡単に火がついてしまうのだ、自分だって。
こんな反応をしていたら恭弥ばかりを責められない。同罪だ。

「…ったく、しょうがねーよな…、長い間会えなかった分、まとめてなんだから」
「わかってるなら大人しくしてなよ。あなたが気を失うまでシてあげるから」
「ばかやろ、甘くみんなよ。お前の方が先に根をあげさせてやるっつーの」
「言ったね?後悔しないでよ、その言葉」

恭弥は、にやり…と不敵に笑い、すでに充分濡れそぼっている後ろへ、自身を突き入れた。
抵抗なく入り込む熱に、びくん、と身体が跳ねて。途端に身体が反応する。
飢えていたのは、恭弥だけじゃない。飽くなき欲求を貪るように、熱い感覚に身を任せた。


back

2007.11.12

短くてすみません。何回目なのかはもう考えない事にしました(笑)
何回できるんだよとか、突っ込み出したらキリがないです(をい)
しかし、うちのディノさんは可愛げがないな(笑)そして予想以上に甘い二人になってます。(おおお)(嘆き)