7:耳を塞いでも消えない音
先に吐き出された精が掻き回されて、濡れた音が聞こえてくる。
ぐちゅぐちゅと響く淫靡な音に、耳からも犯されるようで。
堪らずに片方をシーツに押し付け、反対を腕で塞いだ。
それでも。その音はいっこうに消えずに、脳内を巡っていた。
その音は空気を伝わるのではなく、自分の身体を通して直接響いてくるのだ。
「…聞きたくないのは自分の声?」
ディーノの動きを見ていた恭弥は、片方の手で顔に覆いかぶさった腕を退けた。
力の入らないそれは、あっさりと外され感じ入った顔が晒される。
「それとも、こっち?」
そう続けて、恭弥は身体を揺らして中を動かした。
ジェルと交じり合った液体が接合部から滲み出て、卑猥な音が大きくなる。
「……ぁっ、ァ…ッ、…くっ…」
横に向けていた顔が仰け反り、甘く声が上がって。恭弥は笑みを浮かべた。
「両方かな」擦れた声を荒い息と共に吐くと、ぐぐ…と身体を押し上げて結合を深くする。
引き攣った悲鳴が上がるが気にとめずに身体を寄せ、ディーノの耳元に唇を寄せて、囁いた。
「ちゃんと聞いていなよ。自分の声と、この…いやらしい音」
「…んっ…、あっ…ぁ、…」
恭弥の低い声が耳奥を擽り、ぴちゃ…と、舌が差し入れられて。
限界まで高められている身体が過敏に反応してしまう。
唾液を含ませた舌は耳朶をなぞり、濡れた音が重なって官能は高められる一方だ。
(おかしく、なりそうだ…)
全身に巡る濡れた音。抑え切れない声と、低く脳内に響く恭弥の、熱い…声。
快感と共に頭を侵食して、思考が薄れていく。
感覚だけならとうに達していてもおかしくないくらいなのに。
相変わらず塞き止められている前の拘束に、開放できなくて。
苦しくて、苦しくて。滲んでいた涙が、端から伝って落ちた。
「…っは、ぁっ、…きょ…や…っ、頼む…から、もぅ…」
縋るように見上げて泣き言を吐く姿に、恭弥はぞくぞくと、背筋を抜ける痺れを 感じる。
「…わぉ、あなたがそんな事言うなんて…ね。…そんなに苦しい?」
「ぁっ…、たり、前…だ、…っ!……も、げんか…い、…っ、」
「んっ、ちょ…っと…、きっ…つ」
息も絶え絶えに声を吐き出して、それを表すかのように、中をきゅぅ…と締め付けた。
恭弥とて、そんなに引き絞られて耐えられる程の忍耐はまだない。
すでに1回出していたから我慢できていただけで。絡みつく内部に、一気に射精感が高まってしまった。
もっと焦らして、もっと泣き顔を堪能したかったけど。
「…仕方ない…、ね…っ」
このままだと自分の意思とは関係なく上り詰めてしまいそうだったから。
ぐぐぐ…と、深く己を突き動かして摩擦を繰り返し、強く圧迫していた手を離した。
「あっ…、ぁ…っぅ…、きょ…、や…っ…!」
「……んっ…、く…」
ディーノのモノを捕らえていた指が離れた瞬間。一際高く声が上がり、白濁した液が吐き出された。
同時にキツく収縮する中に引きずられて、恭弥もぎゅ…と眉を寄せ、奥へ解き放つ。
注がれる熱いものに組み敷いた身体が小刻みに震えて。限界まで溜められていた精液が溢れ、恭弥の指を濡らしていた。
「ワォ…。随分、濃いね。我慢してた所為?」
指にべっとりと絡まる粘液を見て、揶揄るように笑う恭弥に、ディーノの反応はない。
怪訝に思いちら…と見ると、未だ息が整わないらしく、ハァハァ…と荒く呼吸を繰り返している。
(珍しい…、セーブ出来なかったんだ)
それだけ我慢も限界だったと言う事が、ぼう…っとした視線でわかる。
試しに、痕跡の付いた指先を口元に持っていって、唇を押し開いてみると。
「……ぅ、…ん…」
されるままに開いて、口内に招き入れた。
自分のモノだって、わかっていないのか。赤い舌を覗かせて、濡れた恭弥の指を舐る。
恍惚としたその表情に、恭弥の心拍数が再び上昇して。力を無くしていた中のモノが、また熱を持った。
「……っぅく、…こら。…恭弥…、中で、…大きくすんな…」
「…ち。そのまま居れば良いのに…」
その変化に刺激されたのか、ディーノは音のある言葉を吐いて、見上げた。
その視線は潤んではいるがちゃんと焦点が定まっていて。先ほどのような、ぼんやりしたものではなかった。
「いいさ。もう一度、飛ばしてあげる」
「……っ待て、…このまま続け…んな!…一回、抜…っけ…って…!」
再び覆い被る恭弥の意図を悟り、慌てて身体を押すが。ぐい、と繋がりを深くされて、どうにもできなくなってしまう。
(こんなペースでやられたら…、たまんねぇ…)
性急に行為を再開する恭弥に、息をつく暇も無い。
しかしこの状態で止められないのも過去の経験でわかっていて。
これはもう、もう一度落ち着くまで、付き合うしかないか…
ディーノは諦めにも似た気持ちで息を吐くと、恭弥の背に腕を回した。
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エロしかない…(笑)おかしいな、ディーノさんの箍が外れている気が(爆)
このお題、あと3回もある…いつまでやってんだろ(笑)ここに来て無謀な試みだと気付く(笑)
たぶん、一番エロ度が濃くなるんだろうな、ここ。ヤることやりきっちゃいそうです(笑)